美白カメラを持って大山&蒜山へ
この日のカメラは英国イルフォード社の
「ADVOCATE」。今から60年も前のカメラだ。浅草は浅草寺前の名物クラシックカメラ店「早田カメラ」で買った。その美肌は今なお英国貴婦人のフェロモンを放っている。
DALLMEYER ANASTIGMAT F-35mm レンズはブルーの神秘的な輝きを放ち、画角は35mmと当時としては画期的な試みだ。
クリームチーズのようなカメラだといった人がいたが、これも言い得ている。
その日は快晴、4月も半ばだったが所々雪渓が残っていた。しかし気温は結構高く少し歩くと汗ばむほどだった。後方の山は「烏ケ山」で大山の南東に位置する。
大変崩れ易い岩肌で、現在は登山禁止になっていると説明を受けた。尖った山頂と残雪、なかなかの美形だと思う。
この地区では山をセンと発音する。本来は仙人の仙と書いたらしく神聖な山を意味する。大山、氷ノ山、烏ケ山、いずれもセンと発音する。
休暇村「大山鏡ケ成」。我々の宿泊した施設だが、嫌みのないデザインで大変気を良くした。ここはスキー場でもあり、下の写真はゲレンデの中腹から撮影したものだ。西日本では一番遅くまで滑れるスキー場とのこと。
写真では空の青さが角で濃くなっている。これには訳があるのです。カメラのせいだ。いや、レンズの特性。周辺落ちと言ってレンズ制作技術の発達途上においては、特に35mmといった広角レンズでは画面周辺の明るさが少し落ちる傾向にあったのだ。
しかし、私はそれを良しとしている。道具と言うのは癖があるから面白い、それをどう使うか、どう使いこなすかを楽しまなくては・・・人だって「見る」と「見えている」では違う。興味を持って集中して見ている時、周辺落ちどころか周辺なんか見えていない。
蒜山高原「蒜山ジャージーランド」
遠くに見えるのが大山。この写真は水平が狂っているように見えるが、地形がどこまでも斜めなのだ。その証拠に左端に僅かにみえる屋根は水平。廻りはブナ林がつづき、本当に気持ちのよい二日間だった。新緑の頃にもう一度来てみたいと思う。その時はどのカメラを連れ出そうかな?